2018年 06月 22日
きりこについて /西 加奈子
味方だと信じている本を数冊持っている。
何回読んだかわからないくらい、読んでいる。
いろんな味方がいる。到底クリアーできないゲームのように挑むような気持ちで触れ続けるものもあれば、全幅の信頼をおいているものも、多幸感のプールに浮かべてくれるもの、ひりつくような心をえぐり出すみたいな荒いものまである。
きりこについて
は全幅の信頼をおいているものだ。
最初はつまり、笑える話だ。
軽妙な語りで、単純に笑える話だ。
でもその奥側は、実に尊い。
大きな決断をしなければならない時、あなたは何をよすがにするだろうか?
状況か?見た目か?自分の気持ちか?
どれでもいい。どれをとったって間違いではない。そもそも正解なんかない。美しいばかりが世ではない。
しかしながら、フォーカスはそこではないのだ。
それ(例えば、状況、見た目、自分の気持ち) を信じられるのか?それは本当か?
で、ある。
そんなの言われたってわかんないよ、
それこそ正解なんかないじゃない、
そう返されるのは、まったくもってその通りだとは思う。
でも、それを納得して受け入れる方法がこの本には書いてある。
現実離れした設定の数々と、大げさな仮定を骨組みに物語は進む。だから、単純に笑える。けれどもこれらと引き換えに、ひどく現実的で生活感100%の受容が物語を救う。その決着のつけ方には、胸を打つものがあるのだ。そして、わかる。何を受け入ればよいのか、何を精査すればよいのかが。
個人的な見解だが、この物語に横たわるギャップは優しい気持ちだと私は思っている。
そうでなければ、あまりに悲しいじゃないか。
それはたとえば、釈然としない日常に、「もし宝くじが当たったら、ハワイに移住ね!」と提案するような優しさに似ているから。
すごく気持ちの悪い現状に夢のハンモックを用意するような、枠外にある安心感とも言える。
作中の賢猫、ラムセス2世はこう語る。
「世界は、肉球より、まるい!」
実にそうだ。それを信じさせる、優しさだ。
今しがた読み終えたこの本を、眠る前にはまた最初のページに戻ろうと思っている。
最強の味方を得ているのだ。
何回読んだかわからないくらい、読んでいる。
いろんな味方がいる。到底クリアーできないゲームのよう
きりこについて
は全幅の信頼をおいているものだ。
最初はつまり、笑える話だ。
軽妙な語りで、単純に笑える話だ。
でもその奥側は、実に尊い。
大きな決断をしなければならない時、あなたは何をよすが
状況か?見た目か?自分の気持ちか?
どれでもいい。どれをとったって間違いではない。そもそ
しかしながら、フォーカスはそこではないのだ。
それ(例えば、状況、見た目、自分の気持ち) を信じられるのか?それは本当か?
で、ある。
そんなの言われたってわかんないよ、
それこそ正解なんかないじゃない、
そう返されるのは、まったくもってその通りだとは思う。
でも、それを納得して受け入れる方法がこの本には書いて
現実離れした設定の数々と、大げさな仮定を骨組みに物語
個人的な見解だが、この物語に横たわるギャップは優しい
そうでなければ、あまりに悲しいじゃないか。
それはたとえば、釈然としない日常に、「もし宝くじが当
すごく気持ちの悪い現状に夢のハンモックを用意するよう
作中の賢猫、ラムセス2世はこう語る。
「世界は、肉球より、まるい!」
実にそうだ。それを信じさせる、優しさだ。
今しがた読み終えたこの本を、眠る前にはまた最初のペー
最強の味方を得ているのだ。
by hotaru-book
| 2018-06-22 17:51